【レイモンド・チャンドラーに学ぶおすすめ英語表現】プレイバック Playback ― 探偵稼業のビジネス表現 10 通り vol. 1

Raymond Chandler
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アメリカのハードボイルド小説作家 Raymond Chandler レイモンド・チャンドラー の小説を題材に、生きた英語表現を学んでいきたいと思います。
今回取り上げるのは Playback プレイバック です。

その中でもビジネスや探偵稼業の周辺で使われる単語や言い回しを見ていきます。
スラングや、かなり口の悪い言い方が数多くありますが、そういう表現を知るのも楽しいですよね。

Contents

探偵稼業のビジネス表現 10 通り

advance:前払いする

Miss Vermilyea will advance some expense money and […]

Raymond Chandler, “Playback” p4., Vintage Crime/Black Lizard

advance には 前進する・進める という意味のほかに (お金を)前払いする という意味があります。
前払いの意味の場合は advance の後にお金に関する単語や表現が続くことが多いですね。

ここでは advance some expense money ということなので、調査に必要な経費をいくらか前払いしておく となりますね。

retainer:報酬

[…] and pay you a retainer of two hundred and fifty dollars.

Raymond Chandler, “Playback” p4., Vintage Crime/Black Lizard

retainer 報酬・依頼料 という意味です。
特に弁護士などの専門家に対して支払う報酬を指すようです。

ここでは pay you a retainer of two hundred and fifty dollars 報酬として250 ドル支払う ということです。
ちなみにこの Playback が刊行されたのは 1958 年で、小説の年代設定が同時代の 1950 年代とすると、2020 年現在では 1950 年代に比べて物価が 10 倍ほどになっているそうなので、1950 年代の 250 ドルは 2020 年の 2,500 ドルほどに相当するようです。
日本円に換算すると現在の価値で 25 万円とちょっとという感じですね。
私立探偵として 1 件当たりの調査費用が 25 万円というのはおいしい話なのか妥当な線なのか、どんなものなのでしょう?

fin:5 ドル

I passed him a fin and […]

Raymond Chandler, “Playback” p12., Vintage Crime/Black Lizard

fin 5 ドル札 を表すスラングです。
ちなみに buck 1 ドル のことです。
こちらは有名なスラングで、日常会話でもよく聞きますね。

defraud:だます・詐欺をする

Any name is legal, if there’s no intent to defraud.

Raymond Chandler, “Playback” p18., Vintage Crime/Black Lizard

defraud だまし取る・詐欺をする という意味です。
fraud 詐欺・不正行為 という意味で、それに強意を添える接頭語の de- がついて defraud 詐欺をする ということですね。

ここでは主人公の私立探偵 Philip Marlowe とホテルの受付係の間の軽いやり取りが続く場面で、ホテルの受付の若い男が軽口を叩いている感じですね。

down payment:頭金・手付金

I realize it will only be a down payment.

Raymond Chandler, “Playback” p23., Vintage Crime/Black Lizard

down payment手付金・頭金 という意味です。

ここでは調査対象者の女性 Betty Mayfield が、自分の弱みを握っている強請屋の男 Larry Mitchell と渡り合う場面で、どうせお金が欲しいんでしょ と投げかけるセリフです。
It will only be a down payment 手付金にすぎない ということは、こののちもずるずると何かにつけて金をせびりに来るんでしょう? というニュアンスが込められた表現ですね。

play for a sucker:だます・カモにする

I think I’ve been played for a sucker, but I’m not sure.

Raymond Chandler, “Playback” p27., Vintage Crime/Black Lizard

play for a suckerだます・カモにする という意味のスラングです。
受身の be played for a sucker とすると カモにされる・だまされる ということですね。

主人公の Marlowe が、対象者の Mayfield に対して、(依頼されてあなたを追ってきたが)もしかしたら俺は騙されているのかもわからんね と軽口を叩いている場面です。

odds and ends:ガラクタ・雑用

Odds and ends like that are what you could tell me.

Raymond Chandler, “Playback” p29., Vintage Crime/Black Lizard

odds and endsガラクタ・雑用・半端モノの寄せ集め といった意味のイディオムです。
あれやこれやの細かい部分、と言った感じですかね。

touch someone for ~:金を借りる・金を巻き上げる

He even touched you for a loan.

Raymond Chandler, “Playback” p29., Vintage Crime/Black Lizard

touch someone for(人から)金を借りる・金を巻き上げる という意味のスラングです。
touch 触れる・手を出す という意味ですが、金を巻き上げる という意味のスラングもあるんですね。

ここでは Marlowe Mayfield に対して、もうすでに強請屋の Larry が君から金を巻き上げている(ということを知っているよ) と探りを入れて反応を見ようとしている対話の場面です。

pay fortunes:大金をはたく・高い値段を払う

You’re in a business that doesn’t pay fortunes, aren’t you?

Raymond Chandler, “Playback” p30., Vintage Crime/Black Lizard

Pay fortunes / pay a fortune 大金をはたく・高い値段を払う という意味のイディオムです。
fortune運・運勢 という意味もありますが、富・財産・大金 という意味もあります。

ここでは Mayfield Marlowe に対して、(私を追跡するという依頼のこの案件が)報酬もたいしたことない仕事なんでしょ? と足元を見て言い放つ場面です。

meal ticket:商売道具

But the right wasn’t his meal ticket.

Raymond Chandler, “Playback” p32., Vintage Crime/Black Lizard

meal ticket は文字通り 食券 という意味もありますが、生計の糧・商売道具 という意味でも使われます。
スラングで 金づるのおじさん のような意味もあります。

ここは殴り合いの場面ですが、右ストレートで殴り掛かってきたその右腕の内側にうまく入り込んだと思ったら、実は相手は左も使えて、そのまま左でガツンとやられてしまう、というシーンです。
つまり、右腕が相手の商売道具(利き腕)だと思ったらそうではなくて、相手の罠にはまってやられてしまったということですね。

まとめ

Raymond Chandler の小説 Playback から、探偵稼業ビジネスの周辺で使われる表現を 10 個取り上げてみてみました。
スラングや品の無い言い回しも多くありますね。
普段の生活や実際のビジネスの場面ではなかなか使うことのないような表現が多いかもしれません。
こういう表現が人物の特徴を浮かび上がらせながら、小説の雰囲気を作り上げていくのが伝わってきますね。

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