アメリカのハードボイルド小説作家 Raymond Chandler レイモンド・チャンドラー の小説を題材に、生きた英語表現を学んでいきたいと思います。
今回取り上げるのは Playback プレイバック です。
その中でも人物の特徴を表現する単語や言い回しを見ていきます。
スラングや、かなり口の悪い言い方が数多くありますが、そういう表現を知るのも楽しいですよね。
Contents
人物表現 10 通り
wised up:真実を知る者
Chandler seems to have created the culminating American hero: wised up, hopeful, […]
Raymond Chandler, “Playback”, acclaim for Raymond Chandler by Robert B. Parker, The New York Times Book Review
wise は 賢い という意味ですね。
wise up だと 真実に気づく・わかる・賢くなる という意味です。
そこから、wised up で 真実に気づいた者 → 真実を知る者 という形容表現になります。
上記の引用は小説に寄せられた賛辞ですが、Raymond Chandler が描く主人公 Philip Marlowe のことを wised up 真実を知る者、と評価しているのですね。
rebellious:反抗的な・扱いにくい
[…], thoughtful, adventurous, sentimental, cynical and rebellious.
Raymond Chandler, “Playback”, acclaim for Raymond Chandler by Robert B. Parker, The New York Times Book Review
rebellious は 反抗的な・従順でない・扱いにくい という意味です。
こちらも書評による賛辞の言葉ですが、一筋縄ではいかない主人公をこう評しているのですね。
rebellion は 名詞形の派生語で 反乱・抵抗 という意味です。
doll:若くてとても魅力的な女性
She was quite a doll.
Raymond Chandler, “Playback” p4., Vintage Crime/Black Lizard
doll は 人形 という意味ですが、俗語・スラング的な言い回しで、若くてとても魅力的な女性・やや表情にかける美しい女性 という意味でも使われます。
何となくわかる気がしますよね。
日本語でも お人形さんのようにかわいい女の子 と言いますね。
goof:マヌケ・バカ・アホ
Get on with it, you goof.
Raymond Chandler, “Playback” p5., Vintage Crime/Black Lizard
goof は マヌケ・バカ・アホ な人物を表現するスラングです。
Get on with it. は 早くやれ・さっさと始めろ という意味なので、この引用では さっさと仕事に取り掛かりなさい、このおバカさん くらいの意味ですね。
依頼主の美人秘書が主人公の Philip Marlowe に冷たく指示する場面です。
dish:いい女・美女
At twenty-nine a dish like this would almost certainly have been married.
Raymond Chandler, “Playback” p6., Vintage Crime/Black Lizard
dish は 皿・料理 という意味ですが、スラングで 美女・いい女 という意味もあります。
ここでは主人公の探偵 Philip Marlowe が、調査対象の女性を評して dish いい女 と言っています。
この段階ではまだ写真と経歴を見せられているだけの冒頭の場面ですね。
prissy:神経質
She didn’t look soft or prissy or prudish, […]
Raymond Chandler, “Playback” p8., Vintage Crime/Black Lizard
prissy は 神経質な・小うるさい という意味です。
Philip Marlowe が調査対象者の女性を初めて見た場面での第一印象ですが、 she didn’t look prissy 神経質で小うるさい感じではなさそう ということなので、割と好印象だったようですね。
prudish:ガードの固い・上品ぶった
She didn’t look soft or prissy or prudish, […]
Raymond Chandler, “Playback” p8., Vintage Crime/Black Lizard
prudish は ガードの固い・上品ぶった という意味です。
ここでも she didn’t look prudish 上品ぶったところもない ということなので、感じの良い印象だったことが伺えます。
snail:無精者・のろま
Subject was reading her magazine and toying with coffee and a snail.
Raymond Chandler, “Playback” p9., Vintage Crime/Black Lizard
snail は かたつむり という意味のほかに、無精者・のろま という意味があります。
何となくわかりますよね。
ここでは subject was a snail ということで、対象者の女性がのろまだ と言っているのですが、ちょっと意味が通じにくいところがあります。
何か目的があって行動しているようにも見えず、どこかに移動していく様子も見られないので、なんだかだらだらしているような様子を snail のろま と表現したのかもしれないですね。
conceited:うぬぼれた・思いあがった
He was about six feet one, slender, with a thin conceited face and too many teeth.
Raymond Chandler, “Playback” p9., Vintage Crime/Black Lizard
conceit は うぬぼれ・自負心 という意味です。
反対語は humility 謙遜 ですね。
conceited は うぬぼれた・思いあがった という形容詞です。
ここではとある男性(主要な登場人物ですが)の顔つきを評して a thin conceited face 薄っぺらなうぬぼれた顔 と軽口をたたいていますね。
chum:仲良し・親友
Listen, chum, you were hired to do a job.
Raymond Chandler, “Playback” p12., Vintage Crime/Black Lizard
chum は 仲良し・親友 という意味の口語表現です。
ここでは依頼主の美人秘書が主人公の Philip Marlowe に listen, chum 聞きなさい、大親友さん と茶化しつつも冷たく呼びかけている場面で使われていますね。
まとめ
Raymond Chandler の小説 Playback から、人物の特徴を描写した表現を 10 個取り上げました。
スラングや品の無い言い回しも多くありますね。
こういう表現が小説の雰囲気を作り上げていくのが伝わってきますね。