【レイモンド・チャンドラーに学ぶおすすめ英語表現】プレイバック Playback ― 人物表現 10 通り vol. 2

Raymond Chandler
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アメリカのハードボイルド小説作家 Raymond Chandler レイモンド・チャンドラー の小説を題材に、生きた英語表現を学んでいきたいと思います。
今回取り上げるのは Playback プレイバック です。

その中でも人物の特徴を表現する単語や言い回しを見ていきます。
スラングや、かなり口の悪い言い方が数多くありますが、そういう表現を知るのも楽しいですよね。

Contents

人物表現 10 通り

shamus:私立探偵

You’ll get paid, shamus-if you do a job.

Raymond Chandler, “Playback” p12., Vintage Crime/Black Lizard

shamus 私立探偵 のことです。
主人公の Philip Marlowe の職業は私立探偵で、そのために依頼主に雇われているわけですが、ここでは依頼主の美人秘書が仕事に集中するよう冷たく言い放つ場面ですね。
少し軽蔑というか見下した態度が混じった表現という感じですかね。

hackie:タクシー運転手

From time to time the hackie talked into his radiophone.

Raymond Chandler, “Playback” p13., Vintage Crime/Black Lizard

hackie は口語で タクシー運転手 です。
Raymond Chandler の小説にはちょくちょく出てきてる気がしますね。

blackmailer:恐喝者・脅迫者

“Don’t call me ‘baby’, you cheap blackmailer,” she said with a sudden muted fury.

Raymond Chandler, “Playback” p22., Vintage Crime/Black Lizard

blackmail ゆすり・恐喝 という意味です。
これに そのことをする人物 を意味する接辞語の -er が付いた blackmailer 恐喝者・脅迫者・強請屋 という意味です。

ここでは弱みを握られている女性が、それをネタに絡んでくるゴロツキ男に対して毅然とした態度で 安物の強請屋 と言ってのける場面です。

lascivious:好色な・いやらしい・みだらな

It might make me lascivious.

Raymond Chandler, “Playback” p22., Vintage Crime/Black Lizard

lascivious 好色な・いやらしい・みだらな という意味です。
女性の弱みを握って脅迫する強請屋の男が、相手の女性にぬけぬけと言ってのける場面です。
なかなか強気な発言ですね。

coot:老いぼれ・ウスノロ

coot 老いぼれ・バカな老人・ウスノロ といった意味のスラングです。
ここでも使われているように、old coot クソジジイ のような言い回しをしたりもします。

ここでは強請屋の男が、意に沿わない判決を下した判事のことを old coot 老いぼれのクソジジイ 呼ばわりしています。
言いたい放題ですね。

big shot:大物・ボス

My old man is a big shot in Toronto.

Raymond Chandler, “Playback” p23., Vintage Crime/Black Lizard

big shot大物・有力者・ボス という意味です。

ここでは強請屋の Larry Mitchell が自分の父親のことを a big shot in Toronto トロントの有力者だ という場面です。
Larry の父親が不肖の息子である Larry に 金をやるからどこか遠くで勝手にやっていろ と言ったようで、Larry が父親から遠ざけられている様子がうかがえる場面です。

tramp:あばずれ女・売春婦

She didn’t look like a tramp and she didn’t look like a crook.

Raymond Chandler, “Playback” p25., Vintage Crime/Black Lizard

tramp あばずれ女・売春婦 という意味です。

調査対象者の女性と、強請屋の男とのやり取りを隣の部屋で伺っていた主人公の私立探偵 Philip Marlowe が、対象者の女性について頭の中で評する場面です。
She didn’t look like a tramp あばずれ女のようには見えない ということで、少なくとも悪い印象ではなさそうです。
かなり口の悪い表現ですけどね。

crook:イカサマ師・詐欺師・悪党

She didn’t look like a tramp and she didn’t look like a crook.

Raymond Chandler, “Playback” p25., Vintage Crime/Black Lizard

crook イカサマ師・詐欺師・悪党 といった意味のスラングです。

調査対象者の女性について she didn’t look like a crook 悪党イカサマ師という感じでもなさそう ということで、人をだますようなタイプではなさそうだという印象を持ったようです。
こちらもなかなかひどい言い方ですが…

hoofer:ダンサー

The walls here are as thin as a hoofer’s wallet.

Raymond Chandler, “Playback” p27., Vintage Crime/Black Lizard

hoofer ダンサー・タップダンサー のことです。

ここでは Marlowe が調査対象者の女性 Miss Mayfield に対面し、話を聞いていたことを打ち明ける場面です。
壁がとても薄いことを as thin as a hoofer’s wallet ダンサーの財布のように薄い と比喩的に表現しているのですが、それがどのようなひねりを持っているのか、いまいちよくわかりません。
ダンサーは動き回って踊るので、動きの邪魔にならないようにその財布は薄いものだ、ということなのか、あるいは、ダンサーはそれほど収入がいい職業でもないのでその財布も薄いはず(あまりお金が入っていないはず)、ということも考えられるかと思います。

well-bred:育ちの良い・上品な

A nice quiet well-bred girl.

Raymond Chandler, “Playback” p27., Vintage Crime/Black Lizard

bred breed 育てる・しつける・養育する の過去分詞形で、-bred ~育ちの という意味です。
well-bred で 育ちの良い・上品な という意味です。

Marlowe Mayfield に対して、以前は A nice quiet well-bred girl 上品で物静かな少女だった と短く答える場面です。
Mayfield としては あなた昔の私のことなんて何も知らないでしょう? という感じですね。
こういうのをさらりと言ってのけるのが Marlowe のタフなところですね。

まとめ

Raymond Chandler の小説 Playback から、人物の特徴を描写した表現を 10 個取り上げてみてみました。
スラングや品の無い言い回しも多くありますね。
こういう表現が人物の特徴を浮かび上がらせながら、小説の雰囲気を作り上げていくのが伝わってきますね。

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