アメリカのハードボイルド小説作家 Raymond Chandler レイモンド・チャンドラー の小説を題材に、生きた英語表現を学んでいきたいと思います。
今回取り上げるのは Playback プレイバック です。
その中でも人物の特徴を表現する単語や言い回しを見ていきます。
スラングや、かなり口の悪い言い方が数多くありますが、そういう表現を知るのも楽しいですよね。
Contents
ハードボイルドな人物表現 10 通り
mudhead:バカ・愚か者
“[…] Mudheads always bore me.”
Raymond Chandler, “Playback” p35., Vintage Crime/Black Lizard
mudhead は バカ・愚か者 のことです。
mud は 泥 のことで、mudhead で 頭に脳みその代わりに泥が入っている → バカ ということですね。
バカ者 を表す英語表現はたくさんありますが、
- fool バカ・アホ・マヌケ
- idiot バカ・アホ・マヌケ
- meatball バカ・アホ・マヌケ・無能なやつ
などがよく見られる表現ですね。
gumshoe:サツ・デカ・私立探偵
“Don’t call me ‘sister,’ you cheap gumshoe!”
Raymond Chandler, “Playback” p67., Vintage Crime/Black Lizard
gumshoe は サツ・デカ・私立探偵 を表すスラングです。
gum が ゴム のことで、shoe は 靴 ですので、gumshoe ゴム製の靴 → 歩き回りやすいゴム製の靴を履いている人 → サツ・デカ・私立探偵 ということですね。
同様の職業を表す表現には
- detective 探偵・刑事
- sleuth 探偵・刑事
- cop 警官・お巡り
- flatfoot 警官
などがあります。
stubborn:頑固な・強情な
“You’re pretty stubborn, Marlowe.”
Raymond Chandler, “Playback” p69., Vintage Crime/Black Lizard
stubborn は 頑固な・強情な という意味です。
同意語は
- adamant 頑固な・聞く耳を持たない
- inflexible 頑固な・融通の利かない
- perverse 頑固な・強情な・ひねくれた
などがあります。
反対語は
- flexible 柔軟な・融通の利く
- irresolute 優柔不断な・決断力のない
- pliable 柔軟な・影響されやすい
などがありますね。
snoopy:詮索好きな
“[…] I’m kind of snoopy when I get roped in on a phony like that one. […]”
Raymond Chandler, “Playback” p86., Vintage Crime/Black Lizard
snoopy は 詮索好きな という意味です。
snoop が動詞形の派生語で 探る・こそこそ詮索する という意味です。
同意語は
- inquiring 詮索好きな・知りたがる
- meddling おせっかいな
- prying のぞく・詮索好きな
などがありますね。
fellow:ヤツ・男
“[…] Fellow might as well have one that can travel. […]”
Raymond Chandler, “Playback” p86., Vintage Crime/Black Lizard
fellow は ヤツ・男 という意味です。
仲間・同士・会員 といったニュアンスがありますね。
同意語は
- cohort 仲間
- compeer 同僚・仲間・同士
- comrade 同僚・仲間
- consort 仲間・同僚
などがあります。
反対語は
- enemy 敵
- foe 敵・反対者・障害
- opponent 競争相手・敵・反対者
などですね。
shill:オトリ・サクラ
“So you’re just a shill for a crooked layer,” she said nastily, and grabbed for another of my cigarettes.
Raymond Chandler, “Playback” p90., Vintage Crime/Black Lizard
shill は オトリ・サクラ を意味するスラングです。
同意語には
- decoy オトリ・サクラ
- chicanery ごまかし・だますこと
- snare 誘惑・ワナ
などがありますね。
peeper:のぞき見するやつ
“[…] When I want to get told how to talk English I won’t go to no beat-up California peeper.”
Raymond Chandler, “Playback” p95., Vintage Crime/Black Lizard
peeper は のぞき見する人 のことです。
動詞形の派生語 peep は のぞき見する という意味です。
似たような意味の表現には
- scopophilia 窃視症
- voyeur のぞき見する人・出歯亀
- watcher 監視する人
などがあります。
moocher:乞食・たかり屋
“[…] He throws big parties but the guests come from out of town unless they’re moochers, no-goods, the usual trash you always find hopping about where there’s money. […]”
Raymond Chandler, “Playback” p97., Vintage Crime/Black Lizard
moocher とは 乞食・たかり屋 のことです。
派生語の mooch は せびる・ぶらつく・たかり屋 という意味です。
同意語には
- beggar 物乞い・乞食・貧乏人
- cadger 物をねだる人・たかり
などがあります。
hood:チンピラ・ヤクザ・ゴロツキ
“[…] You don’t know these hoods that have made theirs and gone respectable. […]”
Raymond Chandler, “Playback” p97., Vintage Crime/Black Lizard
hood は チンピラ・ヤクザ・ゴロツキ を表すスラングです。
hoodlum を短くした表現です。
- hoodlum gang 暴力団
- cheap hoodlum チンピラ・ゴロツキ
- hoodlumism 極道
などの表現があります。
同意語には
- delinquent 不良・非行少年少女
- gangster 暴力団員・犯罪組織の構成員
- goon 暴力団・ならず者
- ruffian ゴロツキ・悪党
- thug 悪党・殺し屋
などがありますね。
muggle:仲間外れ・よそ者
“[…]The muggles, I mean.”
Raymond Chandler, “Playback” p103., Vintage Crime/Black Lizard
muggle は 仲間外れ・よそ者 のことです。
ハリー・ポッターの小説にも出てくる表現で、魔法を使えない人たち(種族?)を小ばかにして呼ぶ表現のようです。
造語のようですね。
まとめ
Raymond Chandler の小説 Playback から、人物の特徴を描写した表現を 10 個取り上げてみてみました。
スラングや品の無い言い回しも多くありますね。
こういう表現が人物の特徴を浮かび上がらせながら、小説の雰囲気を作り上げていくのが伝わってきますね。