【NASA | 海外科学英語記事】NASA が主導した自動車の 5 つのイノベーション ― 5 Auto Innovations Driven by NASA

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Image courtesy of NASA
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NASA は過酷な宇宙環境へと探検するための革新的な技術を開発し続けていますが、その成果は我々の身近なところにも応用されています。
ここでは、NASA がもたらした自動車まわりの 5 つの革新的な技術を紹介しています。

5 Auto Innovations Driven by NASA

NASA | 5 Auto Innovations Driven by NASA より引用

いったいどんな技術が NASA 由来のものなのか、専門用語や英語表現と合わせてみていきたいと思います。

Contents

NASA がもたらした自動車周りにおける5 つのイノベーション

1.快適な運転席

自動車に求められるものは何といっても安全と快適さではないでしょうか?
近年の運転席はとても快適な状態で運転できるようにデザインされていると思いますが、実はこれは宇宙飛行士が無重力状態でどのような体勢をとるのが快適なのか、という研究が発端となって、自動車の運転席の快適なデザインに応用されているのだそうです。

When astronauts were aboard the first space station, NASA studied the posture their bodies naturally assumed in microgravity. The initial research and follow-on studies helped design everything from International Space Station work areas to the Orion spacecraft interior to comfortable new car seats in vehicles on Earth.

NASA | 5 Auto Innovations Driven by NASA より引用

International Space Station -ISS 国際宇宙ステーションの作業エリアの設計から、最新の Orion オリオンミッション、そして地上を走る自動車の快適な座席にその研究の成果が活かされています。

例えば NISSAN 自動車がそのシート設計を取り入れ、Altima 2013 年モデルから採用しているのだそうです。

After years of research throughout the early 2000s and positive results, the car manufacturer debuted the seat derived from NASA standards in the 2013 Altima. Today, the design is in various Nissan models.

NASA | 5 Auto Innovations Driven by NASA より引用

身近なところに NASA の技術があるという好例ですね。

2.タイヤ空気圧警告灯

走行中に突然タイヤがパンクしたら困りますよね。
近頃ではそんなことはなくなってきたそうですが、それはタイヤの空気圧が落ちてきたらタイヤ空気圧警告灯がダッシュボードで転倒して知らせてくれるからです。

A flat tire can take drivers by surprise. That should be happening less these days, thanks to tiny sensors that light up a dashboard warning whenever the tire pressure is off.

The technology converts pressure into electrical resistance and generates real-time readings. After the company delivered the device to NASA, they adapted the sensor for cars. Today, U.S. law requires a pressure gauge on every car tire.

NASA | 5 Auto Innovations Driven by NASA より引用

NASA がとある企業と共同でスペースシャトル用に開発した小さなセンサーが、自動車にも応用されるようになったのです。
今ではアメリカではすべての車のタイヤにこの空気圧ゲージの搭載が法律で義務付けられているのだそうです。
安心安全に欠かせない技術も NASA の開発からもたらされているのですね。

3.ナノテクを利用したエンジン損傷個所の自動修復技術

摩擦によってエンジンが損傷を受けることは免れません。
エンジンオイルなどの潤滑油は摩擦を小さくすることはできますが、あくまで延命措置にすぎません。
NASA はナノテク技術に注目し、摩耗したエンジンの小さなヒビや損傷を受けた個所を埋めるナノ粒子を開発しました。

The aim was to use an existing liquid lubricant to carry nanoparticles to the point of friction to fill in tiny cracks or worn spots. In addition to keeping parts in good repair, such a lubricant could extend the systems’ working life. Initial research identified the best material – a type of ceramic – was effective, durable, and nontoxic.

NASA | 5 Auto Innovations Driven by NASA より引用

自動的に修復して良いコンディションに保つだけじゃなく、潤滑油の働きでパーツの寿命も延びるという、ポジティブな相互作用が生まれています。
しかもこの材料、セラミックの一種とのことですが、効果的で、耐久性も高く、しかも毒性がない、という理想的なものだということです。
今では何万台もの車やトラックに使われていて、エンジンのコンディションを保つのに役立っているのです。

4.レースドライバーを過熱と頭痛から保護

カーレースのレーサーの運転席は、エンジン、トランスミッション、床面、などの複数の熱源のせいで 華氏 160 F ≒ 摂氏 70 C ほどのうだるような暑さにまで達するのだそうです。
この過酷なまでの熱からレースドライバーを守るため、NASA がスペースシャトルに使用している材料をもとに、とある会社が断熱材を開発しました。

Based on materials used to protect the space shuttle from the temperatures experienced as the crafts slammed back into Earth’s atmosphere (and faced temperatures up to 3,000 degrees Fahrenheit), a company created blanket insulation kits to shield race car drivers from excessive heat exposure.

NASA | 5 Auto Innovations Driven by NASA より引用

スペースシャトルが地球の大気圏に突入する際にはなんと華氏 3,000 F ≒ 摂氏 1,650 C の温度に直面するのだそうですが、その高温からシャトルの機体を守るために使われている材料なのだそうです。
またレースドライバーは、排気ガスのせいで頭痛、吐き気、めまい、などに悩まされているのだそうですが、ここにも NASA の技術が使われています。

Another byproduct of racing is combustion fumes that can cause headaches, nausea, and dizziness. Racing engineers adapted a NASA space technology to create a filter that removes 99% of all airborne particles. The filter provides drivers with fresh, clean air.

NASA | 5 Auto Innovations Driven by NASA より引用

空気中の微粒子の 99% を取り除くフィルターが採用されているのです。
おかげでフレッシュで清浄な空気をドライバーに供給できているようです。

5.自動運転技術

近年、自動車の自動運転技術が大きな賑わいを見せていますが、ここでも NASA の技術が顔を見せています。

Just as robotic lunar landers and Mars rovers need “eyes” to guide it safely around the rocks and crevices of unfamiliar terrain, an autonomous car must safely navigate unforeseen obstacles.

NASA | 5 Auto Innovations Driven by NASA より引用

月や火星を自動で走行するためには、地形が不明な土地においても岩や地面の裂け目の周りでも安全にガイドしてくれる“ 目 ”が必要ですが、自動運転においても同じように予期せぬ障害物があっても安全にナビしなくてはなりません。
特に、月に着陸するためのレーザー技術と、地球外の世界をナビしてくれる AI -Artificial Intelligence 人工知能 が、地球における自動走行技術に役立っているのだそうです。

NASA space technologies – lasers for landing on the Moon and artificial intelligence for navigating on other worlds – are helping make self-driving cars on Earth safer. The systems could revolutionize how cars navigate rush hour traffic and avoid collisions.

NASA | 5 Auto Innovations Driven by NASA より引用

これらの技術を応用して、通勤ラッシュ時でも衝突を避けて安全に車をナビしてくれる技術が開発されているようですね。

NASA はその長い歴史の中で、他にもたくさんの技術を民間への応用に移管しています。
この技術移管プログラムによる実例紹介はこちらのリンク spinoff.nasa.gov にまとめられています。
「こんなところにも NASA の技術が使われているのか~」と、眺めているだけでも楽しいですね!

用語と表現

auto industry:自動車業界・自動車産業

auto は 自動の、industry は 産業、という意味なので、auto industry で 自動車産業 となります。
自動車のことは automotive vehicle と言います。
car は 車両 を表すときに使われますね。
自動運転は autonomous driving、自動走行車は autonomous car と言います。

posture:姿勢

posture は 姿勢・態度 という意味です。
日本語の 姿勢 と同じような使われ方をしますね。

comfortable:快適な

comfortable は 快適な という意味です。
この comfortable を省略して comfy と言ったりもします。
comfy だともっとフランクな感じの表現で、楽ちん といったくらいの意味になってきます。

friction:摩擦

friction は 摩擦 という意味です。
物理的に物と物がこすれる際の摩擦という意味でも使われますし、意見の食い違いや衝突を表現する際にも使われます。
日本語の 摩擦 と同じような使われ方をしますね。

wear and tear:摩耗

wear は すり減らす、tear は 引き裂く という意味で、合わせて wear and tear で 摩耗 という意味になります。
ちなみに wear は 服を着る、tear は 涙、というそれぞれ別の意味もありますね。
どちらの意味で使われているのかは文脈で判断できると思います。

lubricant:潤滑油

lubricant は 潤滑油 という意味です。
物理的な摩擦を低減する材料としての潤滑油という意味と、物事や状況が円滑に進行するための役割としての潤滑油という意味合いでも使われます。
日本語の 潤滑油 と同じような使われ方をしますね。
いくつか派生語があります。

  • lubricate:油をさす・滑らかにする・円滑に運ぶようにする
  • lubricious:みだらな・わいせつな・好色な
  • lubricity:潤滑性能・みだら

headache:頭痛

head が 頭 で、ache が 痛み なので、合わせて headache で 頭痛 となります。
他にも;

  • stomachache:胃痛
  • backache:腰痛
  • heartache:心痛(心が痛むという意味で)

などがあります。
体の部位+ache で (体の部位)痛 という感じですね。

sweltering:うだるように暑い

sweltering は うだるように暑い という意味です。
swelter は動詞形の派生語で 暑くてたまらない・汗だくになる という意味です。

nausea:吐き気

nausea は 吐き気・むかつき という意味です。
nauseate は動詞形の派生語で 吐き気を催させる という意味です。

dizziness:めまい

dizziness は めまい という意味です。
派生語がいくつかあります。

  • dizzy:めまいがする・目がくらむような
  • dizzily:めまいがして・目がくらむほど

airborne:空中の

airborne は 空中の・空輸の という意味です。
-borne は -由来の・-で輸送される という意味の接尾語で、他にもいくつか表現があります。

  • seaborne:船で運ばれた・海上輸送による
  • shipborne:船で運ばれた・海上輸送による
  • spaceborne:宇宙で運ばれる・宇宙で操作される
  • waterborne:水上輸送の・水性の・水媒介性の
  • bloodborne:血液由来の:血液感染性の
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