【NASA | 海外科学英語記事】新たな宇宙トイレ完成! ― NASA’s New Space Toilet Offers More Comfort, Improved Efficiency

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宇宙でのトイレっていったいどうやっているんだろう? ― 誰しも一度は疑問に思うことかもしれませんね。
これは実は古くて新しい問題のようで、快適でかつ機能的なトイレの開発が待たれていたようです。
NASA は新たな宇宙トイレを開発し、最近その運用を開始したとのことです。

Boldly Go! NASA’s New Space Toilet Offers More Comfort, Improved Efficiency for Deep Space Missions

人間の基本的な生命維持活動の1つではありますが、宇宙でとなるとまた事情が異なるようです。
より快適で効率的になったという新開発の宇宙トイレがいったいどのようなものなのか、専門用語や英語表現と合わせてみていきたいと思います。

Contents

解説・新宇宙トイレ ― より快適な宇宙生活に!

より小さく・より軽く

Universal Waste Management System (UWMS)  と名付けられた NASA の新宇宙トイレは、9 月から運用を開始しているようです。
そしてこちらがその新宇宙トイレの外観写真です。

  1. フタ
  2. 便座
  3. 尿の前処理タンク
  4. 尿のホース
  5. 尿を集めるじょうごがここに装着される(じょうごは写真に写っていない)
  6. 尿移送システム Urine Transfer System (UTS) がここに装着される

我々が普段使っている、あの見慣れた形状とはずいぶん様相が異なりますね。
無重力状態の宇宙では当然それなりの機能が必要でしょうから、地上のシンプルなトイレとは違いますよね。

このトイレは快適で簡単に利用したいという宇宙飛行士からのリクエストにこたえるためにデザインされたそうです。

The toilet was designed to address astronaut feedback about comfort and ease of use. It also features a 65% smaller and 40% lighter build than the current space station toilet.

NASA | Boldly Go! NASA’s New Space Toilet Offers More Comfort, Improved Efficiency for Deep Space Missions より引用

宇宙ステーションにある現行のトイレに比べて、65 % 小さく、40 % 軽くなっているとのことです。
宇宙へ行くロケットにとってはスペースを小さく、重さを軽く、というのはとても重要な要素ですね。

宇宙でのトイレ事情

無重力状態の宇宙では、地上でそうするのとは違って、排泄物がトイレの中に入るのを重力に任せるわけにはいきません。

In the absence of gravity, space toilets use air flow to pull urine and feces away from the body and into the proper receptacles. A new feature of the UWMS is the automatic start of air flow when the toilet lid is lifted, which also helps with odor control. By popular (astronaut) demand, it also includes a more ergonomic design requiring less clean-up and maintenance time, with corrosion-resistant, durable parts to reduce the likelihood of maintenance outside of the set schedule. Less time spent on plumbing means more time for the crew to spend on science and other high-priority exploration focused tasks.

NASA | Boldly Go! NASA’s New Space Toilet Offers More Comfort, Improved Efficiency for Deep Space Missions より引用

宇宙トイレでは空気の流れを利用します。
空気の流れによって排泄物を体から引き離し、容器へと引き込むのです。
今回の新宇宙トイレの新たな特徴の一つは、ふたを持ち上げると自動で空気の吸い込みが開始されるところだそうです。
これによって匂いの拡散を制御できますね。

さらに、より人間工学的なデザインになっていて、しかも清掃とメンテナンスに割くための時間が少なくて済むそうです。
これは、耐腐食性で耐久性の高い部品が使われているためで、予定外のメンテナンスが発生しないようになっているのです。
トイレの修理に割く時間が少なくなればその分、科学実験や他の優先度の高い任務に当てる時間が増えますよね。

plumbingこちらの記事 で解説していますが、配水管周りの修理 という意味です。
スペルにある b は発音しないので発音注意です。

この新宇宙トイレ、いったいどのように使うのでしょうか。

The crew use a specially shaped funnel and hose for urine and the seat for bowel movements. The funnel and seat can be used simultaneously, reflecting feedback from female astronauts. The UWMS seat may look uncomfortably small and pointy, but in microgravity it’s ideal. It provides ideal body contact to make sure everything goes where it should.

NASA | Boldly Go! NASA’s New Space Toilet Offers More Comfort, Improved Efficiency for Deep Space Missions より引用

排尿の際には特殊な形状のじょうごとホースを、排便の際には便座を利用します。
女性宇宙飛行士の要望を受けて、じょうごと便座が同時に利用できるようになっているそうです。

写真を見ると便座が小さくてとがっていてあまり快適そうにも見えませんが、無重力状態の宇宙では理想的なデザインなのだそうです。
排泄物があるべきところに確実に行くための理想的な接触状態になるようです。

無重力状態ですので、体を固定する必要があります。

The UWMS includes foot restraints and handholds for astronauts to keep themselves from floating away. Everyone positions themselves differently while “going,” and consistent astronaut feedback indicated that the traditional thigh straps were a hassle.

NASA | Boldly Go! NASA’s New Space Toilet Offers More Comfort, Improved Efficiency for Deep Space Missions より引用

宇宙飛行士自身が浮いたままどこかに行ってしまわないように、足のすべり止め、手すり、がついています。
排泄時の体勢はそれぞれ異なることもあり、これまであった太ももを固定するテープは面倒だということで今回の新宇宙トイレからはなくなっているようです。

トイレ用具もただ流せばいいというわけにはいきませんよね。

Toilet paper, wipes, and gloves are disposed of in water-tight bags. Solid waste in individual water-tight bags is compacted in a removable fecal storage canister. A small number of fecal canisters are returned to Earth for evaluation, but most are loaded into a cargo ship that burns up on re-entry through Earth’s atmosphere.

NASA | Boldly Go! NASA’s New Space Toilet Offers More Comfort, Improved Efficiency for Deep Space Missions より引用

トイレットペーパー、ワイプ、手袋、などは廃棄のため密閉防水バッグに入れます。
固形ごみは、脱着可能な糞便用の容器に詰め込まれます。

少量の糞便は研究のために地球に持ち帰りますが、ほとんどは荷物コンテナに入れて地球への再突入の際に大気圏で燃やしてしまうそうです。
宇宙船ならではのダイナミックな処理方法ですね。

宇宙船内のトイレエリア

宇宙船内のトイレエリアはこの写真のような個室になっているそうです。

プライバシーに配慮して、公共のトイレにあるような簡易個室になっていますね。

For privacy, the toilet is located inside of a stall just like in a public restroom on Earth. The dual-stall configuration that you see here has already been installed on the space station and will house the Waste Hygiene Compartment which is currently in use on the space station and UWMS during this technology demonstration.

NASA | Boldly Go! NASA’s New Space Toilet Offers More Comfort, Improved Efficiency for Deep Space Missions より引用

こちらはすでに宇宙ステーションに設置されていて、利用されているものだそうです。
2 つの個室が隣同士でつながった、仮設トイレみたいな感じですね。

英語表現や専門用語

urine:尿

urine 尿・小便 です。
peeおしっこ という意味ですが、子供っぽい感じがしますね。
おしっこをする であれば go for a pee / take a pee のような言い方になります。

receptacle:容器・入れ物

receptacle 容器・入れ物 という意味です。
receptacle outlet / plug-in receptacleコンセントの差込口 のことになります。

odor:臭気・匂い・悪臭

odor 匂い・悪臭 という意味です。
匂い全般を表すので、悪臭かどうかには限定されてはいません。
特に 悪臭 そのものを表すには malodor などがあります。

funnel:漏斗・じょうご

funnel 漏斗・じょうご です。
その形状と、水を集めて注ぎ込むといった用途から (お金を)つぎ込む と言った意味もあります。

bowel movement:排便

bowel movement排便 のことです。
bowel のことで、movement 動き・活動 ですので、腸の活動 → 排便 ということですね。

hassle:面倒なこと・イライラさせられること

hassle 面倒なこと・イライラさせられること という意味です。
ケンカ・小競り合い・口論 と言った意味合いもあります。

日本語で言う ハッスルする = 元気にやろうぜ みたいな意味の方は hustle でスペルが違いますので要注意ですね。
この hustle の方は ハッスルする・張り切る という意味で、日本語の ハッスル はこちらから来ています。

feces:糞便・排泄物

feces 糞便・排泄物 のことです。
上で解説している urine と合わせて feces and urine糞尿 となります。

house:収容する・囲む

house を動詞として使うと 収容する・囲む という意味になります。
家に住まわせる・泊まらせる という意味もあります。

この辺り、名詞で使われているのか、動詞で使われているのか、文脈や文章の構造を見て判断する必要がありますね。

まとめ

NASA の新宇宙トイレについてみてみました。
宇宙に行くとなるとトイレ一つとっても地上とはわけが違いますね。
そしてこれまで積み重ねてきた経験から、宇宙飛行士の要望を取り入れてより快適なトイレを開発しているのです。

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