【NASA | 海外科学英語記事】海を持つ惑星はこの銀河ではよくあるらしい ― Oceans are common in the Galaxy, most likely

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海は地球だけにある特別な存在ではなく、他の惑星にもある、割と普遍的な存在だと言えそうだ、ということがわかってきたようです。

“Are Planets with Oceans Common in the Galaxy? It’s Likely, NASA Scientists Find”

NASA | Are Planets with Oceans Common in the Galaxy? It’s Likely, NASA Scientists Find より引用

何がわかってきたのか、専門用語や英語表現と合わせてみていきたいと思います。

Contents

概要

エウロパとエンセラダスには水が存在する

木星の衛星のエウロパと、土星の衛星のエンセラダスには水が存在することがわかっているそうです。

“Plumes of water erupt from Europa and Enceladus, so we can tell that these bodies have subsurface oceans beneath their ice shells, and they have energy that drives the plumes, which are two requirements for life as we know it,” says Quick, a NASA planetary scientist who specializes in volcanism and ocean worlds. “So if we’re thinking about these places as being possibly habitable, maybe bigger versions of them in other planetary systems are habitable too.”

NASA | ARE PLANETS WITH OCEANS COMMON IN THE GALAXY? IT’S LIKELY, NASA SCIENTISTS FIND より引用

水柱の吹き出しが観測されていることから、生命の存在に必要と思われる二つの要素:

  • エネルギー:水柱の吹き出しを駆動するだけのエネルギーはある

が存在することがわかるのですね。

となると、これらの衛星よりも大きい惑星においても生命体が存在可能な環境のところはありそう、と考えるのは不自然ではないですね。

tell はよく使います。
ここでは ~だということがわかる という意味です。

Lynnae Quickさんはこの研究を率いる NASA の惑星科学者です。

計算によると太陽系外惑星にも水が存在し、エネルギーの放出もあるようだ

数十個の太陽系外惑星について観測結果を解析したところ、その4分の1以上の太陽系外惑星に海があると言えそうだとのことです。

Through a mathematical analysis of several dozen exoplanets, including planets in the nearby TRAPPIST-1 system, Quick and her colleagues learned something significant: More than a quarter of the exoplanets they studied could be ocean worlds, with a majority possibly harboring oceans beneath layers of surface ice, similar to Europa and Enceladus. Additionally, many of these planets could be releasing more energy than Europa and Enceladus.

NASA | ARE PLANETS WITH OCEANS COMMON IN THE GALAXY? IT’S LIKELY, NASA SCIENTISTS FIND より引用

mathematical analysis なので、観測結果の数値解析+理論計算なのでしょうね。
さすがに太陽系外惑星において水の存在を直接観測したというわけではないようです。
エウロパとエンセラダスもそうですが、その表面は氷の殻で覆われていて、その下に液体の海が広がっている、というのが有力な仮説なのだそうです。
なんだか不思議な感じですね。
さらにこれらの研究対象の惑星には、エウロパやエンセラダスよりも多くのエネルギーの放出がありそうだということです。

several dozen ということですが、dozen は ダース で 12個、あるいは 多数、ということなので、several dozen では 数十個程度 ということになります。

quarter は 4分の1 ですね。

主要な熱源は2つ:放射性物質の崩壊による熱の発生と、重力相互作用による潮汐力

生命の存在に必要な二つの要素のうちの一つは水ですが、もう一つは熱でした。
惑星が熱を持つには熱源が必要ですが、ここでは主要な熱源として二つ挙げています。

The team considered two primary sources of heat. The first, radiogenic heat, is generated over billions of years by the slow decay of radioactive materials in a planet’s mantle and crust.
Next, the researchers calculated heat produced by something else: tidal force, which is energy generated from the gravitational tugging when one object orbits another.

NASA | ARE PLANETS WITH OCEANS COMMON IN THE GALAXY? IT’S LIKELY, NASA SCIENTISTS FIND より引用
  • 放射性物質のゆっくりとした崩壊に伴う放射性崩壊熱
  • 他の惑星・恒星との重力相互作用による潮汐力によって発生したエネルギー

primary source ということなので、他にもいくつか考えられるが主な熱源はこの二つ、という感じです。

mantle は マントル、crust は 地殻 ですね。
地球と同じように岩石的な部分があって、そこに放射性物質があると想定しているようです。

tidal force は 潮汐力 ですので、これらの惑星に存在する海そのものがエネルギー発生源になっている可能性があるようです。

発生した熱の放出ルートは2つ:火山と、地殻変動

発生した熱・エネルギーが、どのように惑星全体に行き渡るのか、どの程度の量が放出されていくのか、というのは大事な要素です。
ここでは二つの放出ルートを挙げています。

One exit route for the heat is through volcanoes or cryovolcanoes. Another route is through tectonics, which is a geological process responsible for the movement of the outermost rocky or icy layer of a planet or moon. Whichever way the heat is discharged, knowing how much of it a planet pushes out is important because it could make or break habitability.

NASA | ARE PLANETS WITH OCEANS COMMON IN THE GALAXY? IT’S LIKELY, NASA SCIENTISTS FIND より引用
  • 火山活動
  • 地殻変動プロセス

cryovolcanoes は聞きなれない単語ですが、cryo- は 氷の とか 冷凍の とかいう意味なので、直訳すると 氷の火山 ということです。
つまり、火山が噴火しているかのような現象に見えるが、噴出しているのは極低温の物質、ということですね。

geological process を想定していますが、地球のように岩石的な部分だけとは限らず、惑星の表面を覆う氷の殻の部分の動きによる寄与も想定に織り込んでいるようです。

そしてこれらの熱・エネルギーが、どの程度放出されるかによって、惑星が生命体にとって存在可能な場所かどうかが決まってくるのです。

discharge は 放出・開放 という意味ですが、日常会話では 病院から退院する、という意味でもよく使われます。

生命に快適な環境のためには微妙なバランスが必要

そしてその熱の生成と解放のバランスですが、生命が存在するには非常に繊細なバランスが要求されるようです。

For instance, too much volcanic activity can turn a livable world into a molten nightmare. But too little activity can shut down the release of gases that make up an atmosphere, leaving a cold, barren surface. Just the right amount supports a livable, wet planet like Earth, or a possibly livable moon like Europa.

NASA | ARE PLANETS WITH OCEANS COMMON IN THE GALAXY? IT’S LIKELY, NASA SCIENTISTS FIND より引用
  • 火山活動(=熱の放出)が多すぎると、悪夢のような溶岩の世界に
  • 火山活動が少なすぎると、大気を形成するガスが少なくなり、冷たく不毛な土地に

地球やエウロパのように液体の水があって、生命が存在しうる(可能性のある)星となるには、ちょうどいい量というのがあるのですね。

惑星の表面温度と、惑星の密度、そして内部の熱源の大きさから、太陽系外惑星にも海が存在しうると考えられる

三つの要素の存在とその大きさ・量から、これらの太陽系外惑星が海を持つと予測しています。

The researchers predicted that these exoplanets have oceans by considering the surface temperatures of each one. This information is revealed by the amount of stellar radiation each planet reflects into space. Quick’s team also took into account each planet’s density and the estimated amount of internal heating it generates compared to Earth.

NASA | ARE PLANETS WITH OCEANS COMMON IN THE GALAXY? IT’S LIKELY, NASA SCIENTISTS FIND より引用
  • 各惑星の表面温度
  • 各惑星の密度
  • 内部熱源の量

我々の住む地球は、これらのバランスが取れた貴重な環境なのですね。

… be revealed by ~ は ~によって…であることが明らかにされる、という意味です。
モノゴトを主語にした受身表現になっていますね。
この モノゴトが主語+受身表現 というのは英語ではよくある表現方法で、客観的な印象を与えます。

take into account ~ は ~を考慮に入れる という意味で、学校でも習ったかもしれませんね。

用語や表現

exoplanet:太陽系外惑星

exo- は 外の・外部の という意味、planet は惑星なので、合わせてexoplanet で 太陽系外惑星 となります。
英語による説明では planet beyond our solar system ということです。

Enceladus:エンセラダス(エンケラドゥス、エンケラドス)

Enceladus は土星の衛星です。
直径は500キロメートルほどなので、東京と鳥取の間くらいに収まる感じですね。

表面は氷の殻で覆われているようですが、その下には液体の水が存在すると考えられています。
液体の水、有機物、熱源、が存在すると考えられているため、生命体が存在する可能性が取りざたされているようです。

Enceladus についての Wikipedia による詳しい説明はこちら

Europa:エウロパ

Europa は木星の衛星です。
直径は約3,100キロメートルなので、日本列島全体の南北間の長さくらいありますね。
月より一回り小さい程度のようです。

表面は氷の殻に覆われていて、その下に液体の水が存在すると考えられています。
Enceladus と同様に、生命体の存在の可能性が高い場所として注目されています。

Europa についての Wikipedia による詳しい説明はこちら

plume:煙・雲・水 などの柱

plume は 煙・雲・水 などの柱 という意味です。
立ち上る一筋の煙、ふんわりとかすかに匂うガス、といったイメージがあります。

habitable:居住可能な(環境)

habitable は居住可能な・住むのに適した環境、という意味です。
派生語に、 habitat :生息地・住まい、habitant :住人・居住者、habit :習慣・癖、などがあります。

alas:ああ!・悲しいかな!

alas は間投詞で、ああ! とか 悲しいかな! と言った嘆きを表現します。
日本語の あらやだ! みたいな感覚でしょうか。

barren:不毛な

barren は 不毛の地・実を結ばない、という意味です。
a barren discussion で 不毛な議論 という表現がありますね。

constellation:星座

constellation は 星座 という意味です。
constellation Aquarius だと みずがめ座 ですね。
配置 という意味もあり、何かの配置を説明するような実務的な場面で出てきたりします。

astronomer:天文学者

astronomer は 天文学者 ですね。
astro- は 天文の・宇宙の という意味の接頭辞なので、これがつくと宇宙関連の言葉かなというのが推測できます。

  • astronomy :天文学
  • astronaut:宇宙飛行士
  • astrophysics:天体物理学
  • astrology:占星学

などがありますね。

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