【NASA | 海外科学英語記事】年齢わずか 240 歳の中性子星を発見 ― A Cosmic Baby

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宇宙の話となるとスケールが大きくて、時間の単位であれば何千年とか何百万年とかばんばんでてきますよね。
そんな中、年齢わずか 240 歳の中性子星を発見したそうです。

A Cosmic Baby Is Discovered, and It’s Brilliant

NASA | A Cosmic Baby Is Discovered, and It’s Brilliant より引用

宇宙の赤ちゃんと言えるほどの若さですね。

いったいどんな性質の星なのか、専門用語や英語表現と合わせてみていきたいと思います。

Contents

概要

年齢わずか 240 歳の中性子星を発見

「天文学的な数値」という表現があるほど、宇宙に関する数値はそれこそ桁違いですよね。
そんな中、年齢わずか 240 歳という、宇宙基準で言えば新生児ともいえる neutron star 中性子性を発見したそうです。

Astronomers tend to have a slightly different sense of time than the rest of us. They regularly study events that happened millions or billions of years ago, and objects that have been around for just as long. That’s partly why the recently discovered neutron star known as Swift J1818.0−1607 is remarkable: A new study in the journal Astrophysical Journal Letters estimates that it is only about 240 years old — a veritable newborn by cosmic standards.

NASA | A COSMIC BABY IS DISCOVERED, AND IT’S BRILLIANT より引用

今回発見したこの中性子星は Swift J1818.0 – 1607 という名で知られるそうです。
known as ~ で、~として知られる という意味ですね。
似たような表現に as known as ~ というのがありますが、こちらも同様に ~として知られる という意味です。

veritable は 正真正銘の という意味です。
まさに宇宙の新生児、という感じですね。

中性子星はこの宇宙でも指折りの超高密度の物体

中性子星は、巨大な恒星が超新星爆発を起こした後に残された、超高密度の物質です。

A neutron star is an incredibly dense nugget of stellar material left over after a massive star goes supernova and explodes. In fact, they’re some of the densest objects in the universe (second only to black holes): A teaspoon of neutron star material would weigh 4 billion tons on Earth. The atoms inside a neutron star are smashed together so tightly, they behave in ways not found anywhere else. Swift J1818.0−1607 packs twice the mass of our Sun into a volume more than one trillion times smaller.

NASA | A COSMIC BABY IS DISCOVERED, AND IT’S BRILLIANT より引用

この中性子星、どれほどの高密度かというと:

  • この宇宙で、ブラックホールに次いで 2 番目の高密度な物体
  • スプーンひとさじの中性子星物質が、地球では 40 億トンの重さ
  • Swift J1818.0−1607 では太陽 2 個分の質量が、太陽の1 兆分の 1 以下の大きさにまで詰め込まれている

のだそうです。

この Swift J1818.0−1607 の直径はわずか 10 マイル ~ 20 マイル ≒ 15 キロメートル ~ 30 キロメートル ほどしかないようです。
この中に太陽 2 個分(太陽の質量は 2 × 1030 kg)の質量が詰め込まれているということですが、もはや想像を絶する世界ですね。

Supernova 超新星爆発 についてはこちらの記事でも解説しましたが、質量の大きな恒星がその一生の最後に起こす大爆発のことです。

宇宙でも指折りの超高磁場を持つマグネター

今回発見した中性子星 Swift J1818.0−1607 はさらに、宇宙でも最も強力な磁石でもあるようです。

With a magnetic field up to 1,000 times stronger than a typical neutron star — and about 100 million times stronger than the most powerful magnets made by humans — Swift J1818.0−1607 belongs to a special class of objects called magnetars, which are the most magnetic objects in the universe.

NASA | A COSMIC BABY IS DISCOVERED, AND IT’S BRILLIANT より引用

典型的な中性子星の 1,000 倍にも達する磁場 ―それは人類が作りうる最も強力な磁石の 1 億倍の強さだそうです― を持つこの Swift J1818.0−1607 は、magnetar マグネターと呼ばれる特別な種類の物質に分類されるそうです。
この magnetar は、宇宙で最も強力な磁性物質なのだそうです。

今見ているのは年齢 240 歳の姿

この Swift J1818.0−1607 は地球から 16,000 光年離れた位置にあるそうですが、今見ている姿はこの星が 240 歳の時の状態なのです。

Swift J1818.0−1607 is located in the constellation Sagittarius and is relatively close to Earth — only about 16,000 light-years away. (Because light takes time to travel these cosmic distances, we are seeing light that the neutron star emitted about 16,000 years ago, when it was about 240 years old.)

NASA | A COSMIC BABY IS DISCOVERED, AND IT’S BRILLIANT より引用

constellation こちらの記事でも解説しましたが、星座 という意味です。
constellation Sagittarius で 射手座 ですので、この Swift J1818.0−1607 は射手座の方向に位置しているそうです。

地球からの距離は 16,000 光年とのことですが、これは比較的地球に近いと言える距離なのですね。
Swift J1818.0−1607 から放たれた光が地球まで届くのに 16,000 年かかる、ということですが、初めて Swift J1818.0−1607 からの光が地球に届いたのが 240 年前 = 西暦 1780 年ころ、ということです。
西暦 1780 年ころというと日本は江戸時代の真っただ中ですね。
それから 240 年経った現在は、Swift J1818.0−1607 の 240 歳の姿を観測している、ということなのです。

電波を発する電波パルサー

さらに Swift J1818.0−1607 は、X線、ガンマ線、電波、を放射しています。
我々はこの放射を観測しているのですね。

In addition to X-rays, magnetars have been known to release great bursts of gamma rays, the highest energy form of light in the universe. They can also emit steady beams of radio waves, the lowest energy form of light in the universe. (Neutron stars that emit long-lived radio beams are called radio pulsars; Swift J1818.0−1607 is one of five known magnetars that are also radio pulsars.)

NASA | A COSMIC BABY IS DISCOVERED, AND IT’S BRILLIANT より引用

ガンマ線は宇宙でも最もエネルギーの高い電磁波です。
一方で電波は宇宙で最もエネルギーの低い電磁波です。
long-lived radio beams 長時間持続する電波ビーム を発する中性子星は、radio pulsar 電波パルサー と呼ばれるのだそうです。

中性子星は、地球では実現不可能なその極端な環境や性質を持ち合わせているがために、我々の物理学の理解を検証するための自然の実験室といえる存在なのだそうです。

用語や表現

million:100 万、billion:10 億、trillion:1 兆

million:100 万
billion:10 億
trillion:1 兆

数字の位・桁の表現はなかなか憶えにくいですね。
日本語と英語で位取りの規則が違いうのも原因の1つかと思います。
一度憶えてしまうと脳内変換が楽になりますので、とりあえずこの3つだけ暗記してしまいましょう。

remarkable:注目に値する・異例の

とてもポジティブな意味合いで目立つ感じを表現したものです。
いい意味で目立つ存在、という感じですね。

cosmic:宇宙の

cosmos は 宇宙 という意味で、cosmic はその形容詞形で 宇宙の という意味です。

nugget:かたまり(塊)

nugget は 金属や鉱物の塊、という意味です。
gold nugget で 金塊 ですね。
neutron star は非常に重くてそのサイズはとてもコンパクトで金属の塊みたいだ、というところからこの nugget という表現で呼んでいるのかなと思います。
ちなみに chicken nugget は チキンナゲット ですよね。

stellar:星の・星に関する

stellar は 星の・星に関する という意味です。
stellar material で 星に関する物質 ということですね。
ちなみに 輝かしい・素晴らしい という意味もあって、人の経歴を形容するときなどに使ったりもします。

in addition to ~ :~に加えて

よく使う表現ですね。
文章の冒頭でも文中でも使えます。

be involved with ~:~に関わっている

とても英語的な表現かなと思います。
I’m involved with this project. で 私はこのプロジェクトに関わっています となります。
仕事などで自分は何をやっているかを紹介する場面なんかでよく使いますね。

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