【レイモンド・チャンドラーに学ぶおすすめ英語表現】プレイバック Playback ― 探偵稼業のビジネス表現 10 通り vol. 2

Raymond Chandler
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アメリカのハードボイルド小説作家 Raymond Chandler レイモンド・チャンドラー の小説を題材に、生きた英語表現を学んでいきたいと思います。
今回取り上げるのは Playback プレイバック です。

その中でもビジネスや探偵稼業の周辺で使われる単語や言い回しを見ていきます。
スラングや、かなり口の悪い言い方が数多くありますが、そういう表現を知るのも楽しいですよね。

Contents

探偵稼業のビジネス表現 10 通り

on the lam:逃走中

“Yeah, the sun’s shining and our friend is no more on the lam than you are. […]”

Raymond Chandler, “Playback” p11., Vintage Crime/Black Lizard

on the lam逃走中 という意味です。
Live on the lam 逃走生活を送る という表現があります。

主人公の私立探偵 Philip Marlowe が依頼主の美人秘書 Miss Vermilyea と電話で会話している場面です。
依頼された調査の現在の状況を伝える大事な電話にもかかわらず Vermilyea は事務的な態度と口調を崩さないので、ちょっとからかってみたくなった、という一言かなと思います。

cagey:話したがらない・用心深い

“I’m tired of being cagey. […]”

Raymond Chandler, “Playback” p17., Vintage Crime/Black Lizard

cagey話したがらない・用心深い という意味です。

Marlowe がホテルにチェックインするのにホテルの受付と会話している場面です。
“用心深くいるのには疲れた”と言っておきながら、実は真実を語っているわけではないのです。
大都会ロサンゼルスで探偵稼業を生業とするには用心深さが必要ですね。

talk out of ~:~をしないように説得する・話して~をやめさせる

“To be strictly kosher I should call L.A. and tell the party who sent me. Maybe I could be talked out of it.”

Raymond Chandler, “Playback” p27., Vintage Crime/Black Lizard

talk out of ~~をしないように説得する・話して~するのをやめさせる という意味のイディオムです。

kosherこちらの記事 で解説していますが、ちゃんとした・合法の という意味です。

Marlowe が調査対象者の Miss Mayfield と最初の接触を図ってやり取りしている場面です。
“それでどうするの?” と警戒する MayfieldMarlowe は “まじめにやるならロサンゼルス(の依頼主)に電話するべきだが、そうしないように誰かが説得するべきかもな” とうそぶくセリフ。
挑発しながら情報を引き出していくのは Marlowe の得意とするやり方ですね。

leer:色目を使う・いやらしい目つきをする

I must have been leering a little, because she suddenly curled her fingers and tried to claw me.

Raymond Chandler, “Playback” p31., Vintage Crime/Black Lizard

leer 色目を使う・いやらしい目つきをする という意味です。

Marlowe Mayfield の緊迫したやり取りが続く場面ですが、一気に緊張感が高まります。
何かが起こる予感をはらんだ一文です。

pay up:全額支払う・有り金をはたく・借金を完済する

“She just paid up and left, sir. Quite suddenly. No forwarding address at all.”

Raymond Chandler, “Playback” p35., Vintage Crime/Black Lizard

pay up 全額支払う・有り金をはたく・借金を完済する という意味合いの表現です。

ひと騒動あった後でホテルのフロントに電話をすると、Mayfield は宿泊代を全部支払って急にいなくなったというのです。
物語の序盤でじわじわと盛り上がってくるところですね。

bite:分け前

And that in turn meant that whatever kind of bite he planned to put on Betty Mayfield, financial or amatory or both, would have to be put on fast.

Raymond Chandler, “Playback” p42., Vintage Crime/Black Lizard

bite には 分け前・税金 という意味もあります。
かむ少量 という意味の方がよくある使い方ですが、文脈で意味を読み取る必要がありますね。

ここでは Marlowe が独り思案しているところです。
強請屋の Larry Mitchell がつかんでいるネタ = Mayfield の弱み は何なのか、考えを巡らせながら車を走らせています。

put on:だます

And that in turn meant that whatever kind of bite he planned to put on Betty Mayfield, financial or amatory or both, would have to be put on fast.

Raymond Chandler, “Playback” p42., Vintage Crime/Black Lizard

put onだます・かつぐ・からかう という意味で使われることもあります。
置く着る などの意味でよく使われますが、文脈で意味を読み取る必要がありますね。

  • You put me on! 嘘だろう!?
  • Are you putting me on? マジで?・からかっているの?

といった感じで使われたりしますね。

物語の序盤、事態が複雑になってくる中で、いったい何が背景にあるのか、Marlowe が思案している場面です。

make a pitch:言葉巧みに売り込む・誘惑しようとする

You didn’t like dreamboats like Mitchell making a pitch at you.

Raymond Chandler, “Playback” p55., Vintage Crime/Black Lizard

make a pitch言葉巧みに売り込む・誘惑しようとする という意味のイディオムです。
pitch には 宣伝文句・売り口上 といった意味合いがあり、そこから来てますね。
スタートアップ企業などのプレゼンイベントを pitch event ピッチイベント とか呼んだりしますよね。

Marlowe Mayfield の会話の場面です。
物語が一つの山場を迎えています。

wooden nickel:贋金・まやかしもの・ほんの少しのお金

And your story to the cops won’t be worth a wooden nickel.

Raymond Chandler, “Playback” p63., Vintage Crime/Black Lizard

wooden nickel贋金・まやかしもの・ほんの少しのお金 という意味のスラングです。
nickel は アメリカで 5 セント硬貨 を意味するスラングですね。

ここでの使われ方というか、ニュアンスとしてはちょっと注意が必要かもしれません。
Your story won’t be worth a wooden nickel.ということで、素直に訳すと 君の話は少しの価値もない → (警察に)話す価値もない という感じかと思います。
あるいはそこから少し意訳して 君の話は(警察に話しても)誰も信じない という感じでもいいのかもしれません。

bribe:わいろを贈る・(わいろで)言うことを聞かせる

I had to follow her and bribe a taxi driver to use his R/T outfit to find out where her cab was going so that I wouldn’t lose her.

Raymond Chandler, “Playback” p72., Vintage Crime/Black Lizard

bribeわいろを贈る・(わいろで)言うことを聞かせる という意味です。

Marlowe が今回の調査案件の依頼主である Umney に、背景にある事実関係がどうなっているのかを迫る場面です。
あくまで追跡だけしてその報告だけすればいいのだと威圧的に告げる Umney ですが、Marlowe は真実を求めて食い下がります。
お金の問題ではないのです。

まとめ

Raymond Chandler の小説 Playback から、探偵稼業の周辺で使われるビジネス表現を 10 個取り上げてみてみました。
スラングや品の無い言い回しも多くありますね。
普段の生活や実際のビジネスの場面ではなかなか使うことのないような表現が多いかもしれません。
こういう表現が人物の特徴を浮かび上がらせながら、小説の雰囲気を作り上げていくのが伝わってきますね。

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